今日は我慢しない。
 コートの中で嬉しそうにハイタッチする佐柳インA組男子たち。

 コート外でそれを見ていた女子たちから華やかな歓声が沸く。

 爽やかに汗を流し仲間と笑いあう佐柳は、アタックするとき体操服の裾からのぞく縦割れ腹筋に女子たちの熱い視線が注がれていたことを、きっと知らない。

 言わずもがな、今は体育の時間。

 今日は佐柳のいるA組と我がクラスC組の合同授業で、クラス対抗のバレーボール試合が行われている。

 4コートに分かれて男子の試合が始まると、応援の女子たちは自然と佐柳たちがいるコートに集中した。

 私はと言うと、隣のコートを見るふりして、ついつい横目で佐柳を追ってしまう。


「おい佐柳! 手加減しろよ!」


 C組のコートで尻餅をつく男子が満を持して佐柳に物申し始めた。


「なんだ今のプロアスリートみたいなアタックは! C組αが全員動けなかったぞ! 無理だろ!!」


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