恋をしたのは姉の夫だった人
 胸中がざわついて、僅かに目を伏せる。

「今夜もお義兄さんに夕食を作られるんですか?」

「え?うん……義兄と姪にね!義兄一人じゃ大変だから」

 義兄にと言われるとたじろいでしまい、早口で答えた。

「……それは、親切心からですか?」

 いったいどうしちゃったのだろう。
若田の目はいつになく真剣だ。

「……え?それはどういう意味?」

「……お義兄さんのことが好きなんじゃないですか?」

「……」

 ストレートで間違いのない質問。
途端に胸がバクバクとうるさく音を立てはじめる。

 ――どうして、バレたの。

「お義兄さんといる時の春日さんの顔は……いつもと違いました」

 顔が一気に熱くなる。

「何を言っているの……そんなことはないよ」

 認めるわけにはいかないので、首を横に振った。
次の瞬間、若田に手を捕まれてしまう。

「若田君……?」

 彼に触れられることなんて初めてで、驚き目を瞬く。

「わかるんです」

「……え」

「ずっと、あなたを見てたから……」

 真剣な目が優を射抜くように見つめる。
捕まれている手が熱い。

 彼に感じていた最近の違和感の正体が、確かになる。

「僕は、柊木さんが好きです……」

 優は少しの間、無言で彼を見つめ返す。
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