神に選ばれなかった者達 前編
…その後、ふぁにはまた死んじゃった訳だけど。

でも半魚人も殺したから、両者相打ち。

その日以降、ふぁにが深海の海底都市の夢を見ることはなくなった。

相打ちとはいえ、半魚人を倒したことによって解放されたらしい。

…しかし、悪夢に終わりはない。

翌日からもふぁには、終わりない悪夢に毎晩苦しめられることになった。

そして、妹尾家の節穴家族達は、今に至ってもなお、ほたるがふぁにに入れ替わっていることに気づいていない。

…一体いつになったら気づくのやら。

ふぁに自身も、「自分ほたるじゃないんですけど!」とは言ってない。

言って信じてもらえるとは思えないし…。…それに、いずれにしてもふぁにと妹尾家の人々は無関係なのだ。

「他人?じゃあ出ていけ」とか言いかねないじゃん?あの家族。

別に良いよ。

家族として扱われなくても、毎晩のように悪夢を見ても。

学校でクラスメイトに無視されても、どうでも良い。

ほたるが現実を受け止めることに耐えられなくて、ふぁにを呼び起こしたように。

ふぁにもまた、いつか耐えられなくなれば、他の「代わり」を呼び起こすのだろう。

きっとそうやって生きていくのだ。これからも。

…それで良い。

いつか、ふぁにが耐えられなくなるその日まで。







…なんて、暗い話をしてごめんなさいね。

ふぁにとほたるのこと、聞いてくれて嬉しいよ。

楽しくもない話だけど、ここまでご清聴、どうもありがとうございました、ってな。









あなたが耐えられないならばⅢ END










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