神に選ばれなかった者達 前編
「う、うぅ…」

負けじと、何度も繰り返すのだが。

全然、思うように掘り起こせない。

シャベルに向かって、ぴょんぴょん遊んでるようにしか見えない。

「のぞみ、無理しなくて良い」

お兄ちゃんが、そんな私を止めた。

「む、無理なんて…」

「だって、全然掘れてないじゃないか」

「うっ…」

そう言われると…言い返す言葉もないけれど。

「お兄ちゃんがのぞみの分も頑張るから、のぞみはやらなくて良いよ」

と言ってお兄ちゃんは、私の手からシャベルを取ってしまった。

あっ…。

「畑を耕すのとは訳が違うからな。確かに、女の力じゃ手に余るかもな。ここの土、硬いよ」

ふぁにさんまで。

しかし、一方では。

「萌音は全然平気だよ?」

「…萌音は馬鹿力だからな…」

私と同じ女性の萌音さんは、誰よりも深々とシャベルを地面に突き刺し。

誰よりも大量の土を、一度にごそっと掘り返していた。

しかも、その作業をけろっとして行っている。

す、凄い…。

あれを見ていたら、私も頑張らなきゃ、って思ってしまう。

「や、やっぱり私も…」

「良いんだよ、のぞみ。お兄ちゃんがやる」

「だけど…」

皆作業してるのに、私だけぼーっと見ている訳には。

「じゃ、のぞみは掘った土を少しずつで良いから、向こうに運んでくれないか」

私の気持ちを察してくれたのか、李優さんが仕事を頼んでくれた。

「は、はい。分かりました」

「急がなくて良いぞ。ゆっくりで良いから」

「はい…」

…相変わらず、皆優しい。

お前も仕事しろよ、と怒られても文句を言えないのに。

皆、重たいシャベルを持って、硬い土を必死に掘り返して、大きな落とし穴を作ろうとしているのに。

私だけ楽をしてはいけないと、私は皆が掘り出す土を、せっせと運ぶ作業を行った。
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