へなちょこリリーの惚れ薬

二階の、小さな部屋に通される。

「すぐ火を」

ノア様は暖炉に火を入れて、麻リネンのバスタオルを貸してくれた。
服を拭いているその間、ノア様は廊下で待っていてくれた。

「もういいかい?」
「あっ、はい」

扉を開けると、「せっかくだから」と、言ってノア様は杖を取り出した。

「目を閉じて」
「え」
「何色が好き?」
「え、ピンクとか」

おでこに、杖の感触。
なに、突付かれてる?

「もういいよ」
 
目を開けると。
あたしは生まれて初めて、フリフリのドレスを着ていた。

「こんなのでいいかな?」
「わあ……! あ、ありがとうございます!」
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