彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網

幼馴染の本気

 先生はスーツケースの中から二つの箱を出してきた。

 そのうちの一つを私にくれた。

 正方形の箱。蓋を開けて息を飲んだ。見たこともない大きな光る宝石がついた指輪がそこにはあった。

 先生は輝く指輪を取り出すと、私の左手の薬指にはめた。

「佳穂、僕と結婚してほしい」

「先生……本当に私でいいの?」

「ああ、佳穂じゃないとダメなんだ。佳穂はどう?」

 流し目で私を見る。素敵な先生、離れられないのは私の方だ。私は先生に言った。

「はい。もし許されるなら先生の奥さんになりたい」

「許すから僕の妻になれ」

「許してほしいのは先生じゃないです……」

「わかってる。ああ、やっと佳穂が頷いてくれた……」

 二人で抱き合い、しばらくキスを交わした。

「先生、マリッジリングはおそろいにして先生もつけてくださいね。先生こそ私なんかと結婚なんてきっと最初は誰も信じないからリングをしていないとすぐに略奪されてしまいそうです」

「人の夫を略奪なんてできるわけがない。私は弁護士だ。略奪の罪で訴えてやる」

 真顔で宣言する先生。私はあまりのことに噴き出した。

「ぷっ、略奪の罪って……もう、先生おかしすぎる……あはは」

「ま、余計な罪人を出さないためにも君と同じリングをして、僕は君のものだという証をつけておくとしよう」
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