彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網

「よろしい。では次。これを開けて……」

 箱を開けるとそこには腕時計が入っていた。

「佳穂。誕生日おめでとう」

「え?!指輪と別で準備してくださったんですか?」

「なんだ、そんなに驚くことか?プロポーズとは別で誕生日のプレゼントを贈るのは当たり前だろう。諒介と先に誕生日ディナーを一緒にしていたくせに、僕が何も覚えてないと思っていたのか。これが誕生日プレゼントだ」

「これ……すごく素敵です……」

 バングルの周りにいくつか小さな石が埋め込まれている。中央には文字盤があり、時計になっている。普段使いも出来そうで、センスのいい素敵なものだった。こういうものを欲しいと思っていたが手が出なかったのだ。ものすごく嬉しかった。

「この時計を見たら君にピッタリだと思ったんだ。君は甘さと硬さが同居する。この時計みたいだろ」

 得意げな先生。でも嬉しかった。私を思いながら選んでくれた。私を好きだと言っていたのは本当なんだと思えた。

「先生、ありがとうございます。これからは毎日つけますね」

 先生はそのバングルを持つと私の左腕に自らはめてくれた。

「よし。これでもう取れないぞ」

「ほら、取れますよ」

 私は外して見せた。すると、先生は私の手からそれを取り上げてまた腕につけた。

「取れるけど、僕の前ではなるべくならつけているように……これは首輪がわりの腕輪だ。君は僕のものという意味だぞ」

「わかりました」

「先生、このまま出社されますか?」

「ああ、そうだな。それと、とりあえず君はおじいさんに連絡して、明日にも僕が行くと伝えてくれ。もちろん、結婚と借金の件だ」

「先生のご家族は?」

「うちはあとだ。父にはあちらで話はしてある。それにそちらの借金の返済は一日でも早い方が利子も増えない。それに一応債務先などを確認する必要はある」

 私は急いで連絡をした。そして隠していた婚約のことをうちあけたのだった。お爺ちゃんの驚きは言うまでもなかった。でも、不思議と怒ったりしなかった。来たら相談しようとひとこと言われた。妙だと思ったが、それはすぐに明らかになった。
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