彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
 おじいちゃんは私を見て言った。

「佳穂、かなりの金額を工面してくれた佑君にわしは頭があがらん。先生には恩義もあるが、佑君には今まで色々と面倒を見てもらっていたのも事実なんだよ」

「わかってる、そうだけど……」

 黙って聞いていた黒羽先生は、泣きそうな私をそっと抱き寄せた。そして佑とお爺ちゃんに言った。

「ひとつだけ確認していいでしょうか……さっきも言いましたが、皆さんは佳穂の気持ちを聞いたことがありますか?」

「……」

「それは……!」

「佑君は確かに立派です。そのことを佳穂もよくわかっていて感謝してる。おふたりに育てて頂いて感謝している。そのことが彼女の判断を鈍らせて人生の選択をできなくさせている」

「先生、だめ……」

 先生は私の顔を見てにっこり笑った。信用して聞いていなさいと言った。

「法律を学んでやりたいことは彼女の半生に関係しています。僕の所に来たのもそのためです。僕は彼女と最初に会ったのは三峰先生と一緒にお母さまと面会したときです」

「え?もしかして佳穂がよく話していた……」

 佑が言うのに私はうなずいた。

「そうなの。ボロボロだった私に前を向いて生きていけと言ってくれたのは先生だった」

「そうだったのか」

「再会した彼女はしっかり前を向いて希望に満ちてました。彼女は仕事も出来たし、僕との相性も悪くなかった。僕は彼女に惹かれて守りたいと思った。最善の方法が結婚でした」

「だからと言って、あんなやり方……」

「やり方は褒められたものでなかったかもしれない。彼女も疑心暗鬼だったようだし、僕は佑君の様に気持ちを告げる勇気がなくてね。結構遠回りしてしまった」

「……佳穂」
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