彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
「川口君にも実は連絡していたんだ。呼んでくれるか」
「池田君、連絡して」
佐々木さんが言うと池田さんが連絡した。しばらくして川口先生が現れた。
「ご無沙汰しています、大先生」
「ああ、川口君。忙しいのに悪いね。この間はびっくりしたよ。裁判、お疲れ様」
「先生が担当検事だったからとても緊張しました」
「いや、随分立派になった。その時の弁護がとてもよかったとひとこと顔を見て言いたかったんだよ」
「ありがとうございます。大先生こそお忙しいのにわざわざこちらにいらっしゃるなんてどうされました?」
「櫂に直接話があってね。櫂は私のいる時間だけ避けて家に来るから会えない」
「お父さんが意地悪ばかり言うからじゃない」
すると、クライアントが出てきて帰って行った。黒羽先生は見送ると戻ってきた。
「父さん……この間アメリカに来るとは思わなかったよ。お疲れ様でした」
「ああ。少しいいか」
そう言うとふたりで応接室に入って行った。
「私が行くと言えばお兄ちゃんが逃げないからって言うの。後でお兄ちゃんに絶対怒られる」
「何の話か知ってる?」
川口先生が蛍さんに聞いた。