彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網

「はい」

「君は櫂をどう思っている?」

「私は中学時代にある人の言葉で前を向いて生きていく決心をしたんです。その言葉をくれたのが先生だったと最近知りました。しかも先生は父の保釈の件で狙われていた私をわざわざ事務所に入れて、プライベートでも守ってくれました。先生には返しきれない恩があります」

「それは弁護士としてしたことかもしれないよ」

「私も最初はそうだと思っていました。私は恋愛も、結婚も諦めていたんです。それなのに先生がプロポーズしてくれて……でもご家族が私を受け入れられないのであれば……お断りするつもりです」

「佳穂、受け入れてもらう必要はない。父さんと僕は違う」

「……櫂は私を反面教師にしたといいたいんだな」

「父さん達が選んだ道は母さんと話し合った結果なんだろうけど、僕は同じ道を行くのは嫌だ。彼女が加害者家族だからと恋愛や結婚を諦めていると聞いたとき、僕は父さんに反対されても絶対彼女と結婚すると決めたんだ」

「そうか。ならば、実現させてみるがいい。口で言うほど簡単じゃないぞ。公になった時、自分が火だるまになる可能性もある。その覚悟はあるのか?」

「もちろんです」

「あの……」

「なんだね?」

「結婚が公になれば、櫂さんだけでなくご家族に迷惑をかける可能性もあります。先生に覚悟があると言っても、ご家族に及ぶ影響を考えると私は……」
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