彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
「いや、少しだけローンを組めば大丈夫だ。佳穂、俺と結婚してくれ」
「佑……」
「佳穂のこと、畑ごともらい受ける」
「……!」
「おじいさんやおばあさんのことも心配なんだろ。お前、いずれこっちに戻ってくる気なんだろう?畑のことも、お爺さんたちのことも俺と一緒になればすべて解決するぞ」
彼には何度か告白されて、どうしても友達以上に思えなくて断ってきた。最近は親友になってきて、家のことや祖父母のこと、畑のことなど、丸ごと相談するような関係だった。
甘えていると自分でもわかっている。でも他に頼れる人や相談できる人、佑ほど信用できる人が周りにいないのだ。彼は優しい。私のことも心配してくれているのはわかっている。
「どうしてもその仕事を続けたいならこっちに転職しろよ。弁護士事務所ならここにもあるだろう」
「そういうことじゃないのよ」
佑は私の顔を見て言った。
「……佳穂、まさか弁護士の先生と同居してへんな関係になったんじゃないだろうな?弁護士のくせしてそんなことしたら訴えてやる!」
私は佑の顔を見て息をのんだ。言うべきか悩んだが、隠しているとさらにまずい気がした。
「そのことだけど、実は……お爺ちゃんにも言ってないんだけど、先生と婚約しているの。あ、婚約と言っても一応期間限定ということにはなってる」
「は?なんだそれ?」
「あのマンションに匿ってもらうときセキュリティのためについた嘘のようなものだったんだけど、先生も私を婚約相手とすることで前から勧められていた縁談を回避したかったらしいの」
佑は怒り出した。言わなければよかったと後悔したときには遅かった。