キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


 私はドレスの裾をたくし上げ、階段を駆け上がる。

 待ってるだけじゃダメ、自分から動かないと。
 結川くんには申し訳ないけど、私は私の心に正直になりたい。

 約束を破ることになっても、自分の恋に真っ直ぐでありたいの。


「あやくん……!」


 階段を登り切った頃には、少し息が乱れていた。
 ヒールの高い靴に慣れていないから。

 このシルバーのパールラメのパンプスもdestinyの新作であやくんが用意してくれたもの。
 キラキラ輝いていてガラスの靴みたいでとてもかわいい。

 だけど履きやすさも考えられ、高いヒールでも足が疲れにくい構造になっているのだそうだ。

 とはいえ、急に階段を駆け上がったから疲れてしまった。


「――よく俺だってわかったね」

「っ、わかるよ……あやくんだもん」


 ずっと一緒にいるんだから、顔が見えなくても髪色が違ってもわかる。


「髪……染め直したの?」

「スプレーで一時的に黒染めしただけ。そのままだと仮面の意味ないからね」

「ふふ、そうだね」


 黒髪だと昔のあやくんに戻ったみたいで、懐かしいな。

 その時、リーンゴーンと鐘が鳴った。
 一回目のダンスが始まる合図だ。下を見下ろすと、みんな向き合ってダンスの準備をしている。


「あやくん、あの、私と……」

「つづも踊りたい?」

「え?」

「俺は二人きりになりたいんだけど……ダメ?」

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