キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


「じゃ、行こうか」

「うん、……」

「どうかした?」

「……ううん、なんでもないよ」


 ……やっぱりキスしないんだーー!!

 キスしない宣言をされてから、本当にしてない。
 唇どころかほっぺやおでこもなし。

 正直すごくさみしい!
 こんなこと思っちゃうなんて、私って変なのかな?

 だけど自分からするのは恥ずかしすぎる……。

 ねぇあやくん、あやくんは私のことどう思ってる?
 私はあやくんに触れられなくて、さみしくて仕方ないくらい好きだよ――。





「はーー……」

「大きなため息だね」


 隣に座ってる結川くんに声をかけられ、ハッとする。


「あっ……見られちゃった?」

「これだけ大きなため息だとね」

「お恥ずかしい……」


 結川くんは変わりなく接してくれる。
 それが結川くんの優しさなんだと思う。


「ねぇ千歳さん、今年はマスカレードに参加するの?」

「あ、うん。今年は参加しようと思ってるよ」

「そっか! いつも欠席してるからどうなのかなって思ってたんだ」

「今年は参加できそうだよ!」

「あの、もしよかったら俺と一緒に踊ってくれませんか?」

「えっ」


 結川くんはほんのり頬を染めていたけど、メガネの奥の瞳はとても真剣だった。


「仮面をするから顔は隠すけど、千歳さんのこと絶対見つけ出してみせるから」

「っ……」


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