キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
「じゃ、行こうか」
「うん、……」
「どうかした?」
「……ううん、なんでもないよ」
……やっぱりキスしないんだーー!!
キスしない宣言をされてから、本当にしてない。
唇どころかほっぺやおでこもなし。
正直すごくさみしい!
こんなこと思っちゃうなんて、私って変なのかな?
だけど自分からするのは恥ずかしすぎる……。
ねぇあやくん、あやくんは私のことどう思ってる?
私はあやくんに触れられなくて、さみしくて仕方ないくらい好きだよ――。
*
「はーー……」
「大きなため息だね」
隣に座ってる結川くんに声をかけられ、ハッとする。
「あっ……見られちゃった?」
「これだけ大きなため息だとね」
「お恥ずかしい……」
結川くんは変わりなく接してくれる。
それが結川くんの優しさなんだと思う。
「ねぇ千歳さん、今年はマスカレードに参加するの?」
「あ、うん。今年は参加しようと思ってるよ」
「そっか! いつも欠席してるからどうなのかなって思ってたんだ」
「今年は参加できそうだよ!」
「あの、もしよかったら俺と一緒に踊ってくれませんか?」
「えっ」
結川くんはほんのり頬を染めていたけど、メガネの奥の瞳はとても真剣だった。
「仮面をするから顔は隠すけど、千歳さんのこと絶対見つけ出してみせるから」
「っ……」