『Special Edition③』
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「ぁきとさんっ、お仕事は……ぃいんですか?」
「……茜より大事なものはないよ」
「んっ……」

 艶美な眼差しが向けられたと思った次の瞬間には、熱く唇が塞がれた。
 輪郭をなぞるように、ゆっくりと()まれて。
 唇を割って滑り込んで来た舌に、舌先が絡めとられる。

「ンフッ……ぉ……ふろっ、まだ……」

 執拗に口内を蹂躙する舌に翻弄されながら必死に訴えようとするも、それすらも楽しんでいるかのようだ。
 甘い刺激が止んだと思ったら……。

「どうせ汗掻くし、後で入ればいいだろ」
「っっっ……」

 わざと耳元で囁かれた。
 それも、艶気を帯びた甘い声音で。

 ハーフアップに留めていたバレッタが取られ、彼の手によって後頭部が支えられ、ゆっくりとベッドに押し倒された。

 情欲を孕ませた視線が注がれ、ゆっくりと覆い被さった彼の唇が首筋に。
 首筋から鎖骨へと這い伝い、ニットの裾から大きな手が滑り込んで来た。

 シャワーだけでも浴びたいのに。
 ダメと言えない自分が恨めしい。

 彼に求められることが嬉しくて、彼が触れる部分が甘く疼く。
 甘美な刺激に耐え兼ね、体がびくんと跳ねた。

「あっ!白杜さんっ」
「……ん?」
「その……ナシは無しですからね?」
「…………フッ、はいはい」

 すること前提でお願いしたのが恥ずかしいけれど。
 万が一、今妊娠したら、子宮筋腫の手術が受けられなくなってしまうから。

「つけてればいいんだな?」
「え?」
「ファイナルアンサー?」
「何ですか、それ」
「いいから答えろよ」
「……はい、つけて貰えれば」
「女に二言はないな?」
「もう、何なんですかっ、ありませんよ!」

 彼が何を言いたいのか全く分からず、ぷくっと膨れてみせる。
 すると。

「回数制限はナシという事なので、甘いデザート戴くとするな~」
「なっっ……」
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