🕊 平和への願い 🕊 【新編集版】  『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』にリスペクトを込めて。
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 一晩寝て体調が戻った倭生那は、自宅に帰ってすぐに冷蔵庫に残っていた缶ビールの蓋を全部開けて、中身を流しに捨てた。
 そして、缶を潰して、分別用のビニール袋に放り込んだ。
 このまま酒浸りになっていても何も解決しないからだ。

 よく考えるんだ!

 脳に気合を入れて、椅子に座った。

 何か見逃しているものがあるはずだ!

 目を瞑って、脳の引き出しを次々に開けていった。

 自分が知っている妻の友人にはすべて当たった。
 それは日本人だけでなくロシア人も含めてだ。
 しかし、情報は何も得られなかった。
 とすると、キーマンは他にいるはずだ。
 でも、それがわからない。
 年賀状やバースデーカードやクリスマスカードや手紙を何度も確認したので、抜け落ちたものはないはずだ。絶対にない。

 しかし、物事に絶対はない。
 何かを見落としているはずだ。
 もしくは、探していない所があるはずだ。

 それはなんだ? 
 もしくは、どこだ?

 彼女が使用していた机の引き出しも本棚もクローゼットも全部調べた。
 もしかしてと思って、靴箱も調べた。
 洗面台の棚も確認した。
 押入れの天袋も見たし、バッグの中も(あらた)めた。
 そこまで考えて、ふと思い浮かんだ。

 もしかして、台所か?


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