🕊 平和への願い 🕊 【新編集版】  『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』にリスペクトを込めて。
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「モルドバに間違いないようです」

 ミハイルからの電話だった。支援品を積載したトラックを追いかけたところ、モルドバのバランカに辿り着いたという。

「今から写真を送りますので確認ください」

「写真ですか? 何の?」

「見ていただければわかります」

 そこで通話が切れ、間もなくメールが届いた。
 クリックすると、荷物を持つ女性の後姿が目に飛び込んできた。
 次の写真にはアップになった顔が写っていた。
 ナターシャだった。
 間違いなくナターシャだった。
 見つめていると、呼び出し音が鳴った。
 ミハイルからだった。

「奥さんに間違いないですか?」

 頷いた。
 でも、声が出ていない事に気づいて「はい」と答えた。

「どうされますか?」

 移動するかどうかの確認だった。
 答えは決まっていた。
 即座に「行きます」と伝えた。

「わかりました。すぐに手配します。では後ほど」

 それで通話が切れた。
 再び写真に視線を戻した倭生那は、スマホの画面に指を近づけて顔に優しく触れた。
 そして、愛しい人の名前を呼んだ。


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