心が解けていく




「律…、くん」



吃りながら迷った末に、くん呼びをしてみた。

するとガバッと私から離れて、こちらにまん丸とした目を向けている。



すぐに目を逸らすと目を押さえる仕草を見せて、また私を抱きしめた。




「ごめん…。想像以上の破壊力だったから、ちょっと動揺した」


「え?」


「これからも、律くんって呼んでくれる?」


「はい」





私の頭を一撫ですると、〝キスしたかったけど、仕事が終わってからのご褒美に取っておくね〟と耳元で言われて、顔に熱が集中したのが分かった。


そんな私の反応を見て、くしゃっと口角を上げた律くん。




「マンガ肉、焼こっか」


「はい!」





あなたの言葉とその笑顔の方が、破壊力ありますよ。



< 119 / 265 >

この作品をシェア

pagetop