心が解けていく
「…ありがとう。実は今、何があったか分かるまで自宅謹慎って言われてて。テレビつけても俺の話ばっかで、ちょっとメンタルやられてたから、茜音ちゃんに元気もらえた」
「絶対に誤解だったって、分かってもらえます」
「そうだと良いんだけどね。茜音ちゃん、今仕事中じゃないの?戻らないと」
「ううん。今日は昼から休みを取ったんです。用事があったので」
「用事は終わったの?」
「はい。今終わりました」
「じゃあ…」
律くんの、電話越しの控えめなお願いに、食い入る勢いで了承の返事をした。
自宅の最寄駅の二つ手前の駅で降りて、見慣れてきた景色を走り抜け暖簾を頭突きすると、目の前にはカウンターに立つ大将しか居なかった。