クリスマスイブ
「消えたい」

加奈子はウインドウの中を見ながらつぶやいてみた。

声に出してみると、それが自分の声なのか今一つ自信が持てなかった。

「畜生」

もう一度声に出してみた。

でも、何処にも届かなかった。

往来の人達は誰も振り返らなかった。

加奈子はウインドウを見つめた。

ギラギラした照明の中から自分の顔を捜した。

そして薄っすらと浮かび上がった顔の中にたくさんのそばかすをみつけた。

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