深瀬くんが甘すぎる
あと、深瀬くんは制服を着崩すだけじゃなくて、自分で服のデザインも手がけているらしい。
私が深瀬くんの作った服を見たのは、去年の文化祭の一度きりだけどその服はいまでも記憶に鮮やかに残っている。
自由で、独創的で、人目なんて気にしていないようで、ちゃんと自分を持ってて、それを曲げない強さを感じるような。
自分の感性に対する絶対の自信を感じさせるようなその服は、あの日の私の心に異様なまでに刺さったのだ。
それこそ、思わず感想を書いてしまうくらいには。
まあでも、感想は無記名で書いたし、深瀬くんはまさか私が書いただなんて知りもしないだろうけど。
そもそも、深瀬くんがあれを読んだかも定かじゃないし。
私があれを書いたなんて絶対知られたくない。
深瀬くんがあの感想を読んだかも覚えてるかも分からないけど、席が遠ければ話すこともないだろうし、バレることもないだろう。
だから、なるべく遠い席だといいんだけど。