少女と過保護ーズ!!続
コイツも居たな……。


「んごごごごごっっ‼」


高らかなイビキまでかいて、最早隠す気もゼロだな。

ちょっと悪いな、ハイネ。

寒いが我慢してくれな。


「よっ」


バッと布団を捲る。


「んごっ‼??寒っっ‼さ……む……」

「……」


バカと目が合う。

起きたようだ。


「「…………」」


ハイネの可愛い寝顔を堪能したいが、まずはこのバカだな。


「おまっさっきからバカバカ……バッ……」


ガバッと起き上がった竜ちゃんににっこり微笑む。

そのままいつものように、窓を開ける。


「んんんっ」


寒がるハイネ。

とっさに竜ちゃんはベッドから出てハイネに布団をかけてやる。

優しい兄なのだ。

暖かくなったからか、ハイネが笑った。


可愛い‼

竜ちゃんも優しい表情でハイネを見てるが、終わってねぇぞ?


ガシッと竜ちゃんの胸ぐらを掴みにかかる。


「ややや八雲くん‼??」

「じゃあな」

「喋ってさえもらえず‼??」

「せぇっいっやっ‼」


気合いと共にいつものように、窓から放り投げる。



「ぎゃああああ‼なーーーんてな‼悪魔八雲めっ‼毎回毎回、落ちて潰れると思うなよーー‼」


クルクルクルーーーッッ‼

体操選手バリの回転をする竜ちゃん。

そしてそのままブレずに地面にズダンと着地した。


「見たかーーー‼八雲‼」


いや、見えねぇ。

こっからじゃ見えねぇ。


「おおおおおー‼体操選手が落ちてきたのかと思ったら、総長だぁぁぁぁ‼」

「アレは十点満点が出てもおかしくねぇな‼」

「すげえっ‼尊敬だ‼さすが総長‼」

「これぞ、いつもの朝って感じだな‼」


わーわーっと一気に騒がしくなる下。


「ハーッハッハッハッ‼奉れ‼我こそがっっ」

「着地時の時に派手な音がしたし、上げた手の角度がイマイチだから、55点だよ。竜くん」

「麻也ーーーーー‼??」


麻也、痛烈だな。

なんて声を聞きながら窓を閉める。

また戻ってきた日常。

これからも続いていく朝。

あの事件で、この毎朝の日課がどれだけ幸せなものかがわかった。


そしてやっぱり起きないハイネの目に、もう涙はない。

竜ちゃん達の様子からしても、魘されたりもしてなさそうだ。

太平で安心しきった寝顔。

ぷにぷに頬を撫でれば、気持ち良かったのかすり寄ってくる。


俺だとわかっててやってるのかねぇ、この子は。
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