騙すなら墓場まで
 


 だけど、お母さんは天国から私たち家族を今も見守っている。お父さんにはいつもそう教えられてきた。

 夜にお母さんを恋しがって泣いていると、夜空を指さして「お母さんはお空の星になって、美節とお父さんを見守ってくれてるからね。寂しくないよ」と頭を撫でてくれた。

 社長なんて忙しい役職だろうに、できるだけ私と一緒にいてくれようとした。参観日や面談も絶対に出てくれる人で、私の望みを、なんでも叶えようとする人だった。


「お父さん、私は大丈夫だから、もっと自分を大事にして」


 私がそう言っても、お父さんは笑って私を抱きしめるだけだった。「美節が優しい子に育ってくれて嬉しい」と、目尻にシワを寄せて。

 お父さんは私を幼稚園からエスカレーター式の大学まで面倒をみてくれた。女の子しかいない環境で、男の人とはほとんど話さずに生きてきた。



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