騙すなら墓場まで



「それはちょっと心配ですね」


 ライフ・ワーク・バランスが求められるこのご時世の真逆を爆走している。

 ご飯はちゃんと食べているのだろうか。しっかり寝ているのだろうか。不安になるが、私がそんな心配をする資格があるのだろうかと思考がマイナスに傾く。


「でしょう! 昔から勤勉な方でしたけど、ここまでひどくはなかったんです」


 味方ができたと思ったらしい正恵さんは、私を席に座らせ料理を出してくれた。白いツヤツヤしたお米に、正方形のお豆腐と深緑のワカメが浮かんだお味噌汁。どちらも湯気が立っていて美味しそうだ。


「前はちゃんと帰っていたんですか?」

「ええ、深夜になる前には必ず」

「じゃあここ最近なんですか? 帰ってこなくなったのは……」

「そうですね。警視正になったくらいですかねぇ」


 正恵さんがニシンの塩焼きや若竹煮、キャベツのぬか漬けを手早く食卓へと置いていく。どれもこれもご馳走だ。


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