騙すなら墓場まで
嵐を呼ぶ手紙
連れて行かれた先は、落ち着いた雰囲気が売りのチェーン店だった。
客層もサラリーマンや女性グループが多く、値段も高めで入るにはちょっと勇気がいる。前の私だったら絶対に縁の無かった店だ。
ためらいを感じつつも身体は機械的に自動ドアを通る。隣りに萩野さんがいてくれるから平気だったのかもしれない。
彼女はカットソーにワイドパンツというラフな格好で私をエスコートしてくれた。申し訳なさと心強さでどうにか足を動かして、奥の席まで向かう。
「お嬢様……」
土門さんは私たちに気づくと、立ち上がり深々と礼をして椅子を引いてくれた。私も軽く目礼して椅子に座り、萩野さんは私の横に座った。
「早速ですが、こちらをお渡ししたくて」
土門さんはカバンから一通の封筒を取り出した。どこにでも売っていそうな薄茶色の、縦長の封筒だ。
「これは……?」
「お父様からの手紙です」
土門さんが静かに、私の目をひたと見据えた。