騙すなら墓場まで



 正直、うっとうしいことこの上なかった。それでも円滑な人間関係を築いておかなくてはならない。そこで一計を案じた。


 ──得留さん、それってもしかして……!


 正恵さんに頼んで非常にファンシーなお弁当を持たせてもらった。

 猫だか犬だかわからん握り飯や、妙にカラフルなおかずは効果絶大で、ほとんどの奴は声をかけて来なくなった。


 それでもまぁ……猛者というのはどこにでもいるわけで。


 ──得留さん、そんなちっちゃいお弁当で平気なんですか? あたし、ちょっと作り過ぎちゃって……良ければもらってくれませんか?


 ……なぜだろう、少数精鋭だけ選抜して残したような気分になるのは。

 しかしその問題もすぐに解決した。


 ──得留くん、君に頼みたい仕事がある


 とうとう、坂崎を捕まえるための第一歩を踏み出せる段階までやってきた。

 この国では異例中の異例である、潜入捜査の担当に抜擢されたのだ。


< 87 / 125 >

この作品をシェア

pagetop