屋上にて、君へ
まず何からツッコめばよいのか。


あの乙女100%のシオたんが、あのツンツン巨人(いまつけた)からボールを奪い返すなんて。

さすがのツンツン巨人もかっこよすぎるシオたんの快進撃に、口をあんぐりさせている。無理もない。友達二年目のあたしですらあなたと同じ顔をしてしまっているんだから。



「あれ? 今日はなんか賑やかだね」



そんな中、この強烈な空気を破り割って入ってきたのはとてつもなく素敵な美声。

まさに、王子様みたいな……えっまさか。



あたしは口をあんぐりさせたまま声のした方を振り向いた。

『パニック』っていう言葉を顔で表現するなら、きっと今のあたしの顔がビンゴするだろう。


ベンチに座る足パタパタ小人君(いまつけた)の隣に、輝かしい“王子フェロモン”を放つ男子生徒が一名。


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