屋上にて、君へ

ぼやける脳みその中で、何度も繰り返し流れる王子との

屋上での語り合い(お陰様で六限目も回避)。


『藍沢 零』

アイザワレイ。

あいざわれい。

AIZAWA REI。

王子の

……藍沢先輩の名前を、隣でにへら笑いながら、何度も声にならない声で呼んでみた。


あの日

あの時の

あの瞬間の笑顔は誰も知らない。


屋上で見せてくれた、あたしだけに見せてくれた……

ああ

色々な話を聞かせてくれた。


藍沢先輩は学校の中では屋上が好きらしい。

『俺の憧れてるバンドが昔な、ビルの屋上でゲリラライブひらいたの。いつか俺も――』


そんな話を聞かせてくれた。

あとカレーライスが好きだとか、でもタマネギは嫌いだから絶対に入れないとか、ギターは7歳から弾いてるとか、最近よつ高の近くに引っ越してきたとか(あたしんちとめちゃくちゃ近かったり!)




あの50分間で、もっときになっちゃったじゃん。




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