神に選ばれなかった者達 後編
そんな訳で、初対面から印象最悪だった萌音・真理亜姉妹。

母親が退院して家に帰ってからも、それは変わらなかった。

別に妹をいじめたりはしなかったけど、かといって面倒を見てあげることも、一緒に遊ぶこともなかった。

妹の真理亜の視界に入らないように、常に距離を置いていた。

萌音なりに、何とか折り合いをつけようとしていたんだと思う。

そんな萌音の気持ちを、尊重してくれたら良かったんだけどな。

萌音の父親は、早いうちから、萌音の妹に対する淡泊な接し方を見て。

あまり妹のことが好きにはなれないのだろう、と察してくれた。

その為、無理に妹と関わらせようとはきなかった。

「萌音はマイペースな子なんだろう」と判断して、少しずつ、時間が経つうちに関係が改善されるのを待つことにしたのだ。

…しかし、母親の方は。

萌音母は、萌音父ほど寛容ではなかった。

自身が一人っ子で、寂しい子供時代を送った萌音母は。

自分の子には絶対に兄弟を作ってあげたい、と思っていた。

萌音と真理亜、二人に仲良し姉妹になって欲しかった。

だから、一向に妹に興味を示さない萌音のことを、じれったく思っていた。

よその女の子は、妹や弟が生まれたら進んで面倒を見て、一緒に遊んであげて…。

そんな幻想を抱いていた。

そんな姉妹になって欲しいと思っていた。

だから、萌音が妹を避けるような態度ばかり取ることを不満に思っていた。

そう願うのは勝手だが、例えそれが上手く行かなかったとしても、それは萌音のせいじゃない。

萌音の母親はどうも、「この通りになって欲しい」という思い込みが強く。

その通りにならなかったら、酷く神経質になるという悪い癖があった。

その為、萌音母は何とか、真理亜に興味を持ってもらおうと。

真理亜を避けようとする萌音を、事あるごとに引き合わせて相手をさせようとした。

そういう母親の配慮のなさが、萌音には鬱陶しかった。

萌音自身、妹と仲良くなれたら、という思いはあったのかもしれない。

だけど、それは少しずつ、年齢を重ねるごとに積み重ねていくべきものだった。

萌音母は強引に、萌音と真理亜を仲良くさせようと、しつこく迫った。

そのことが余計に、妹を遠ざける原因となったのだ。

母が仲良くさせようとすればするほど、萌音は余計に妹が疎ましくなっていく。

そんな悪循環に陥っていた。

更に、そこから悪いことに。

妹の真理亜に、知的な障害があることが判明した。
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