神に選ばれなかった者達 後編
こんなことは、誰にも相談出来なかった。

「彼」は私に、友達がいるかどうかを尋ねた。

私は咄嗟に「いる」と答えたし、それは事実…だと、自分は思っている。

学校に友達はいる。

よくお喋りする友達。放課後に一緒に遊びに行ったり、宿題を見せ合ったりする友達が。

…でも、毎晩見ている悪夢について相談出来る友達は、一人もいなかった。

遊び友達はいても、本当に大切なことを相談する友達はいない。

それって、果たして友達と言えるのだろうか。

分からなかった。

だけど、認めたくなかった。

「私に友達はいません」なんて、そんな寂しいことは。

それは…あまりにも惨めだった。

言えたら良かったのに。「彼」のように。

はっきりと、「友達はいない」って。

「私は無価値な人間です」って…。

…言えたら、良かったのに。

自分の下らない…下らないプライドが邪魔をして…。

…だけど私にとって、そのプライドこそ、何より大切なものだった。

それがどんなに馬鹿馬鹿しいことか、私には分かっていなかった。

プライドに固執して、誰にも相談することが出来ず、一人悪夢に怯えていた…。

…そんな私のもとに、「彼」が現れた。

私が怯えていたあの学校の屋上に、「彼」がやって来た。

…「彼」の名前は、響也くんと言った。

萩原響也くん。

恐怖に怯えていた私のもとにやって来た彼は、私を安心させてくれた。

大丈夫だって言ってくれた。

何にも大丈夫じゃないはずなのに、でも私を落ち着かせる為に、大丈夫だって。そう言ってくれた。

その言葉に、私がどれだけ救われたか。

あの後色々あって、結局ちゃんとお礼を言えなかった。

これも後で知ったことだけど、響也くんはあの時、酷く絶望していたのだ。

私に負けないくらいに。

彼はあの時、他の『処刑場』メンバーと、ゾンビを殲滅する為に落とし穴作戦を敢行し。

それに失敗した後、響也くんの発案で、放火作戦を行ったそうだが。

それにも失敗して、心が折れてしまった響也くんは、酷く落ち込んでいた。

一人になりたくて、逃げ出したくて…屋上にやって来た。

…そうしたら、そこに私がいたのだ。

響也くんには気の毒な話だけど、あの時彼が絶望してくれたからこそ、私達は出会うことが出来たのだ。
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