キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
病院に着くと、関係者入口から医局の方まで一緒に歩いた。さすがに中にまでは入れないので、諏訪野さんに言われた通り部屋の前の椅子で待っていると5分もしないうちに中から出てきた。コンタクトになり、軽く髪を固めて、白衣を着た”諏訪野先生”になっている。
「お待たせ〜」
「むしろ準備早すぎないですか」
「むしろ遅い方だけど」
「えぇ〜」
「ところでこれ食べられそう? 無理はしなくていいけど」
諏訪野さんは冷蔵庫から取り出したばかりであろう、冷たくなっている飲むゼリーを手渡してくれた。
「すみません。いただきます」
私がゼリーの蓋を固くて開けづらそうにしていると、諏訪野さんが手を出してすぐに開けてくれる。
「どうぞ」
「ありがとうございます。美味しいです」
「うん。良かった。食べなかったらどうしてやろうかと」
「どうしてやろうとは」
「ま、治療が増えるかな。あんな痛いこととかそんな痛いこととか」
「指折り数えないでくださいよ!」
私が軽く諏訪野さんの手を抑えると、はいはいと止めてくれる。
「もう他は食べられなさそう?」
「……はい」
「もう少し体力つけるためにも食べてほしいんだけどね。今日はこれでいいから朝の分の薬を飲んで」
諏訪野さんがどこからか薬と水の入ったペットボトルを取り出して渡してくる。
私は黙って受け取り、言われた通りに飲む。
「よし。じゃあ次はネブライザー(吸入治療)しに行こうか」
「……はい」
「かなり嫌そうだね」
「昨日発作起こしたし、体調も良くないから分かってるけど嫌なものは嫌なんです。でも拒否したらまた歌うなって言うでしょう?」
「僕は小夏が元気に歌って欲しいから言うんだよ。小夏の邪魔をするために意地悪で言ってるって思って欲しくない」
「分かってます、ちゃんと。でも怖いんです」
治療が怖いんじゃない。この先がどこにつながっているのか分からないことが怖い。
「お待たせ〜」
「むしろ準備早すぎないですか」
「むしろ遅い方だけど」
「えぇ〜」
「ところでこれ食べられそう? 無理はしなくていいけど」
諏訪野さんは冷蔵庫から取り出したばかりであろう、冷たくなっている飲むゼリーを手渡してくれた。
「すみません。いただきます」
私がゼリーの蓋を固くて開けづらそうにしていると、諏訪野さんが手を出してすぐに開けてくれる。
「どうぞ」
「ありがとうございます。美味しいです」
「うん。良かった。食べなかったらどうしてやろうかと」
「どうしてやろうとは」
「ま、治療が増えるかな。あんな痛いこととかそんな痛いこととか」
「指折り数えないでくださいよ!」
私が軽く諏訪野さんの手を抑えると、はいはいと止めてくれる。
「もう他は食べられなさそう?」
「……はい」
「もう少し体力つけるためにも食べてほしいんだけどね。今日はこれでいいから朝の分の薬を飲んで」
諏訪野さんがどこからか薬と水の入ったペットボトルを取り出して渡してくる。
私は黙って受け取り、言われた通りに飲む。
「よし。じゃあ次はネブライザー(吸入治療)しに行こうか」
「……はい」
「かなり嫌そうだね」
「昨日発作起こしたし、体調も良くないから分かってるけど嫌なものは嫌なんです。でも拒否したらまた歌うなって言うでしょう?」
「僕は小夏が元気に歌って欲しいから言うんだよ。小夏の邪魔をするために意地悪で言ってるって思って欲しくない」
「分かってます、ちゃんと。でも怖いんです」
治療が怖いんじゃない。この先がどこにつながっているのか分からないことが怖い。