お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語
二日ぶりに帰ってきた部屋の中は、至る所にお酒の空き缶が散乱し、スウェットとスーツが無造作に床に脱ぎ捨てられていた。


「ごめん、今すぐ片付けるから」


バツの悪そうな雅さんが、床からスウェットとスーツを拾い上げる。


「二人で片付けた方が早いから」

リサイクル用のゴミ袋を手に取り、缶を拾い始めた。

こんなにお酒を飲んじゃって。食事をした形跡もないし、体を壊しちゃうじゃない。


「雅さん……ご飯を食べていたの?」

「えっ? あっ、ううん、腹は減ってなかったから」

「ご飯を食べずにこんなにお酒ばかり飲んでいたら、体を壊すでしょう?」

「美愛ちゃんがいないと、俺は全然ダメなんだよ。情けないくらい」

仁さんの言葉が蘇る。「姫ちゃんのことになると、ポンコツになっちまう」--あの言葉通りだった。

会社でキリッとしている雅さんも、優しく微笑んでくれる雅さんも、こんなポンコツな雅さんも、全てが愛おしい。

話し合いはもちろんするけれど、私の中ではすでに答えが決まっていた。さっき「非常識いより」に啖呵を切ったあの言葉が、そのまま本音だ。私は雅さんと、これからも一緒にいたい。


「あ、あのね、聞きたいことがあるの」


缶を拾っていた雅さんの手が止まり、私の手を引いてソファーに座った。


「いいよ、何でも聞いて。すべて正直に答えるから」

「あのね……あのね、さっきいよりさんに言ったことは、すべて本当の気持ちだから。でも、一つを除いて」

「どの部分? 俺はすごく嬉しかったんだ、美愛ちゃんが言ってくれたこと」

「あ、あのね、ずっと考えていたの。私が雅さんに相応しいのかどうかって。相応しくないから、雅さんの家族に紹介してもらえないのかなって……」


自分で言っていて情けなくなり、惨めな気持ちで段々と語尾が小さくなっていった。

雅さんは優しく私の頬を撫でながら、申し訳なさそうな表情を浮かべていた。


「すべては俺のわがままのせいだ。俺のエゴのせい。美愛ちゃんに指輪を贈ってから紹介したかったんだ。俺が作った指輪を着けている君を、みんなに紹介したかった。家族からは早くしろって言われ続けているんだけど」

「わかった」

「まだ聞きたいことがあるでしょう?」

「……」

「何でも答えるから、不安をすべて取り除こう」

「……」


やっぱり、エッチのことは聞きにくい。なんて説明すればいいの。どう言えばいい。


「言いにくいこと? それとも、誰かに何か言われたの?」


なかなか言い出せない私を、雅さんが心配そうに見つめていた。
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