お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語
ねぇ、私はどうしたいの。このままはっきりさせずに結婚するつもりなの。私が話し合いたいと言ったのでは。このままじゃ何も解決しない。

意を決して尋ねようとしたが、彼を見ることができず、顔を埋めたまま口を開いた。


「わ、私って何? 雅さんにとって、私は何なの? ただの飾りのお人形なの?」

「えっ、どういうこと、美愛ちゃん?」


反対に彼から質問されてしまった。もっと具体的に言わないとダメなのかな。


「あのね……み、雅さんが嘘をついて帰ってくるたびに、女性用の香水の香りがしたの。だから外で他の女性と一緒にいたんだとわかった。雅さんにとって、私はそういう対象じゃないんだって。私に魅力がないから、だから……」

「ちょ、ちょっと待って、美愛ちゃん。本気で俺が君とそうなりたくないと思っているの? 毎晩君をただ抱きしめて眠るのは、俺にとって拷問と同じなんだよ。君にもっと触れたいし、その先のこともしたい。でも、婚約指輪も用意せずにプロポーズした俺なりの誠意を示したつもりだったんだ。それに、ジョセフさんと約束したから--君が嫌がることはしないって。俺の勘が正しければ、美愛ちゃんは初めてだよね? だからその経験も、特別なものにしたかったんだ」


ゆっくりと顔を上げ、彼を見上げた。


「じゃあ、私はお飾りじゃないの?」


雅さんはゆっくりと大きく首を横に振った。


「美愛ちゃんはお飾りなんかじゃない。もう嘘はつかない。何でも相談するから」


こくりと頷く私に、彼は片膝をついた。


「よかった。もう一度言わせて。花村美愛さん、俺と結婚して、一緒に子供たちの父さまと母さまになって、お菓子屋を開いてください」


雅さんがベルベットの箱を開け、指輪を差し出してくれた。

ちゃんと覚えていてくれたんだ。
指切りしたあの日の約束を。

今なら言える、ずっと言いたかったこと。小さい頃から願っていたことが叶う、その第一歩。


「はい、よろしくお願いします」


私の左薬指に輝く、世界でたった一つの指輪。雅さんが私のために作ってくれた指輪。
私たちは初めて、いつもの触れるだけのキスよりも熱くて甘い、濃厚な口づけを交わした。愛する人との大人のキスに、私はただ酔いしれた。
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