お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜
エレベーターを待っている美愛ちゃんに哀願した。これがきっと最後のチャンスだから。


「お願いだ。二人だけで話したい」


沈黙する彼女の心を、仁と葉子ちゃんの言葉が動かしてくれた。場所は仁が社長室を提供してくれた。




社長室の大きな窓にもたれかかりながら、椅子に座っている彼女を見つめながら話しかける。


「金曜日、『ホテル9(クー)』で仁に呼び止められたんだ。あんなに怒っているあいつを見たのは初めてだった」


紫道くんといよりくんが男性同士のカップルであること、二人がジュエリー職人であること、そして婚約指輪のこともすべて話した。

ゆっくり歩いて美愛ちゃんの隣に腰を下ろし、決して浮気はしていないことを告げた。しかし、彼女が怒っているのは別の理由だった。


「雅さん。私がどうして怒っているのか、どうして傷ついているのかわかる? 一番ショックだったのは……嘘をつかれたこと」


ーー知っていたんだ。
俺が嘘をついて毎晩外出していたことを。偶然に知られてしまった俺の嘘。

君を驚かせたかった。
喜ばせたかった。
なのに結局、傷つけてしまった。

もうすべてを話そう、嘘はつかずに。

彼女にベルベットの箱を手渡し、開けてもらった。彼女の目が大きくなり、息を止めたのがわかる。

箱の中にあるのは、うちの家紋である右三つ巴紋と美愛ちゃんの家--ヴィッテルスバッハ家に代々伝わる宝石、ブルーダイヤモンドを使ったデザインの指輪。

彼女に特別な指輪を贈りたくて作業に参加していたこと、だから嘘をついて時間を作っていたことを正直に話した。

それでも今、美愛ちゃんは結婚をためらっている。


「……話し合ったあとで、これを受け取るかどうかを決めたい。ごめんなさい」

「それでいいよ。じゃあ、今日は帰ってきてくれる?」


すぐには良い返事がもらえなかったが、俺たちの家に戻ってきてくれることになった。彼女が納得するまで話し合うしかない。
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