お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜
「わ、私って何? 雅さんにとって、私は何なの? ただの飾りのお人形なの?」

「えっ! どういうこと、美愛ちゃん?」


一体、何を言っているのだろう。見当がつかない。


「あのね……み、雅さんから甘い香りがするたび、他の女性と一緒だったってわかった」


泣きながら震える声で、そっと告げた。


「雅さんにとって、私はそういう対象じゃないんだって。私に魅力がないから、だから……」

「ちょ、ちょっと待って、美愛ちゃん。本気で俺が君とそうなりたくないと思っているの?」


まさか、彼女がそんなふうに思っていたなんて。俺はただ、きちんとけじめをつけたかったんだ。指輪を贈ってから、次に進もうと。


「毎晩、君を抱きしめて眠るだけ。それは俺にとって拷問みたいなものなんだ。君にもっと触れたいし、その先のこともしたい」

「じゃあ、私はお飾りじゃないの?」


ゆっくりと、大きく首を横に振った。

改めて、コミュニケーションの大切さを思い知る。もう嘘はつかない。お互いの強さも弱さも、全部見せ合っていこう。

それに俺はーー君を、ずっと欲しくてたまらなかった。

指輪を取り出し、もう一度プロポーズした。


「よかった。もう一度言わせて。花村美愛さん。俺と結婚して、一緒に子どもたちの父さまと母さまになって、あのお菓子屋を、二人でやってください」


美愛ちゃんの微かに震える、細い左の薬指に、想いを込めた婚約指輪をはめる。

この指輪とともに、俺たちの関係も、少しだけ前に進めてもいいだろうか。

そっと唇を重ねる。

いつものように触れるだけで終わるはずだったその口づけは、ほんのわずかに開いた彼女の呼吸に引き寄せられるように、深くなっていった。

離れたあとも、互いの熱が残っている。

肩で息をしている彼女に、小さく「鼻で呼吸して」と伝えた。

熱を帯びた空気の中で、彼女の力がゆっくりと抜けていく。その身体を、壊れ物のように支える。

怖がらせたくない。だから、ゆっくり進もう。

これから、あの日交わした約束に向けてーー二人で歩いていこう。



THE END


*本作はフィクションです。登場する名称・団体・商品などは架空であり、実在のものとは関係ありません。
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