お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語

雅サイド

プロポーズしてからすでに3週間が経った。

美愛ちゃんと話し合った結果、結婚式は3月に予定しているが、まだ場所は決まってない。
 
俺の実家からは、美愛ちゃんに会わせろというメッセージが毎日のように届いている。申し訳ないが、もう少し待っててもらわなければ。

外堀を固めてプロポーズしたものの、肝心の婚約指輪がまだ出来上がっていない。

俺にはこだわりがあり、この婚約指輪を特別なものにしたい。
 
圭衣ちゃんに紹介してもらい、ジュエリーショップのオーナー兼デザイナーである三輪紫道君と出会えた。彼は現在、急成長している売れっ子で、ホテル9(クー)に店舗がある。

紫道君に指輪のモチーフやアイデアを伝え、デザインをしてもらった。思っていたよりも、素晴らしいものができそうだ。俺のこだわりはこれだけではなく、実際に指輪を製作することにもある。もちろん、できない部分については紫道君に手伝ってもらいながら。



しかし、この製作にかかる日数が予想以上に長く、休日や会社の後も指輪作りに時間を費やしていた。そのため美愛ちゃんとはすれ違いの生活を送っており、寂しい思いをさせてしまっている。

指輪作りもあと数日で終わるだろう。

この婚約指輪のことは秘密で、サプライズをするつもりだ。

これでようやく、彼女の指に俺が作った指輪をはめることができ、両家への挨拶も済ませられる。
 
これからは結婚式の準備で忙しくなるだろう。どんなに忙しくても、俺のわがままで進めているので、文句は言えない。



今夜も紫道君の工房にお邪魔して、指輪の制作を行った。本当なら片付けもするべきだが、紫道君と彼のパートナーである香月いより君が行ってくれる。


「雅さん、早く愛しいフィアンセの元へ帰ってあげてください。あとは俺たちが引き受けますから」


彼の言葉に甘えて、帰宅させてもらう。
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