お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語
第3章:姫と悪魔 #1

美愛サイド

初出勤の朝。私は就業時間の30分前に到着し、そのまま副社長室へ向かう。烏丸副社長は、すでに出勤されていた。


「ふ、副社長、おはようございます。今日からよろしくお願いいたします」

「あっ、美愛ちゃん、おはよう。僕はみんなのことを、ファーストネームで呼んでいるから。僕のことも『大和副社長』でいいよ。明日からは規定時間通りで大丈夫だからね」


この日は、さまざまな手続きや各部署への挨拶。そして、社長秘書の仕事内容の引き継ぎを始めた。

社長は午後から出社するそうだ。  

秘書室には副社長秘書で、室長の大河内美奈子(おおこうち・みなこ)さんがいる。
 
大河内さんはベテラン秘書で大学生の息子さんがいるアラフォーのお母さん。以前は伊乃国屋で社長秘書をしていたようだ。前社長退任後、Bon Bonに移られた。

普段は人見知りで慣れるまで時間がかかる私だけれど、大河内さんの明るく優しい雰囲気にすぐに溶け込むことができ、ホッと胸を撫で下ろす。





午後、社長が出勤されたのでご挨拶に伺い、副社長が私を紹介してくれる。


「社長、こちらが花村さんです。この2日間、彼女に美奈子さんのサポートをしてもらい、大まかな引き継ぎを行います。マニュアルも彼女に渡しますので。」

「は、はじめまして。本日付で入社いたしました、花村美愛と申します。1日でも早くお役に立てるよう努力いたします。どうぞよろしくお願いいたします」
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