お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語
挨拶をし、昔母さまに何度も練習させられた30度のお辞儀をした。緊張して声が微かに震えたけど。

188センチのさま父よりやや低いが、それでも高身長でダークネイビーのスーツを着こなし、鼻が高く、くっきりとした二重まぶたで左目尻にほくろがある、爽やかな笑顔の社長が私を立って迎えてくれた。

なんだろう、笑顔は爽やかだけれど、どこか冷めた壁の雰囲気に作り笑いを感じてしまう--目! 目が笑ってないんだ。

……私、ここでやっていけるんだろうか?

あれ、この人も左目尻にほくろがあるんだ。
珍しい。


「あぁ、君が花村さんですね。はじめまして。社長の西蓮寺雅です。よろしく。早速ですが、この資料を今日の終業時間までに作成することは可能だろうか?」


低音で落ち着きのある社長の声に、思わず聞き惚れてしまいそうになる。時計を見ると、2時だった。この量なら、3時間あればできるだろう。


「大丈夫だと思います」




数時間後。


「ふぅ、終わった」


たぶん、これで大丈夫だよね?

数回見直した後、作成した資料のサンプルを印刷し、緊張しながら社長に提出。


「うまくできているね、ありがとう。うちのコンピューターで何か困ったことはなかった?」

「ありませんでした。私もそのソフトを使っているので、大丈夫でした。他に何かご用はありますか?」

「今日はもうないかな。後は大和から指示をもらって」


軽く会釈をして退室した。

よかった〜、最初の仕事を無事にこなすことができて。やっぱり、社長は少し苦手かも。

でもどうにか、無事に初日を終えられそうだ。


< 20 / 138 >

この作品をシェア

pagetop