お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜
第6章:姫と悪魔 #2
美愛サイド
今、トイレの個室で、声を押し殺して泣いている。
どれくらい、ここにこもっているのだろう。まだ勤務中なのに、いつまでもこうしているわけにはいかないとわかっている。それでも、大粒の涙を止める術がわからない。
雅さんとの同居生活は、思った以上に穏やかで心地よかった。少しずつお互いのことも知れて、上手くいっているーーそう感じていたのは、私だけだったのかもしれない。
それを思い知らされたのは、ほんの30分前の出来事だった。
水曜日の今日。
午前中は来客があり忙しかったが、午後になってようやく通常業務に戻れるほど落ち着いてきた。
コピー用紙を取りに、総務部へ向かう。胸の奥に、小さな不安を抱えながら。
ここしばらく、佐藤麻茉さんをできるだけ避けている。あの強烈な出会いと、彼女から浴びせられた罵声は、思い出すだけで体に嫌な緊張が走る。
総務部をそっと覗くと、運よく彼女はいなかった。いつも雑談をしている総務のおばちゃんーー石田さんが、素早く駆け寄ってきた。
「あっ、美愛ちゃん、ちょっとちょっと」
石田さんは、私を人目のつかない角へと誘う。
「今日の午後、これが私たちに社内メールで送られてきたのよ。美愛ちゃん、何か届いてない?」
「先ほど社内メールを確認しましたが、何も届いていませんでした」
眉をひそめ、周囲を警戒しながら小声で話し始める石田さん。
「やっぱり。なんとなく嫌な予感がしたから、一応メールをコピーしておいたの。社長に報告したほうが、いいと思うよ」
石田さんは、そっと私の背中に手を置いた。
「私たちは、メールに書かれていることを一切信じていないけれどね」
そう言いながら、半分に折った紙を手渡してくれた。
どれくらい、ここにこもっているのだろう。まだ勤務中なのに、いつまでもこうしているわけにはいかないとわかっている。それでも、大粒の涙を止める術がわからない。
雅さんとの同居生活は、思った以上に穏やかで心地よかった。少しずつお互いのことも知れて、上手くいっているーーそう感じていたのは、私だけだったのかもしれない。
それを思い知らされたのは、ほんの30分前の出来事だった。
水曜日の今日。
午前中は来客があり忙しかったが、午後になってようやく通常業務に戻れるほど落ち着いてきた。
コピー用紙を取りに、総務部へ向かう。胸の奥に、小さな不安を抱えながら。
ここしばらく、佐藤麻茉さんをできるだけ避けている。あの強烈な出会いと、彼女から浴びせられた罵声は、思い出すだけで体に嫌な緊張が走る。
総務部をそっと覗くと、運よく彼女はいなかった。いつも雑談をしている総務のおばちゃんーー石田さんが、素早く駆け寄ってきた。
「あっ、美愛ちゃん、ちょっとちょっと」
石田さんは、私を人目のつかない角へと誘う。
「今日の午後、これが私たちに社内メールで送られてきたのよ。美愛ちゃん、何か届いてない?」
「先ほど社内メールを確認しましたが、何も届いていませんでした」
眉をひそめ、周囲を警戒しながら小声で話し始める石田さん。
「やっぱり。なんとなく嫌な予感がしたから、一応メールをコピーしておいたの。社長に報告したほうが、いいと思うよ」
石田さんは、そっと私の背中に手を置いた。
「私たちは、メールに書かれていることを一切信じていないけれどね」
そう言いながら、半分に折った紙を手渡してくれた。