お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜
コピー用紙を受け取り、胸の奥に広がる漠然とした胸騒ぎを抱えたまま、急いで秘書室へ戻った。
渡された二枚重ねの紙を、震える指先でゆっくりと開くーー目に入った文字に、息が詰まった。
『社長秘書の花村美愛は、港区女子でパパ活をしている性悪女。
彼女が着ているスーツはすべて、働く女性に大人気のブランド『Cool Beauty』のオーダーメイド品。花村美愛は、10万円以上のスーツや靴を何着も何足も所有している。
さらに、彼女はミッドタウンから徒歩圏内の高級マンションに男と一緒に住んでいるようだ。
こんな性悪女は会社の恥。即刻解雇すべきだ』
そこには、『ホテル9(クー)』のバレーパーキングでの写真があった。横顔の私と、後ろ姿の雅さんーー入社したばかりの頃のものだ。
スーパーで撮影された写真もある。こちらにも雅さんが写っているが、キャップを深く被りサングラスをかけているため、彼だとは判別しにくい。最後の写真は、私がマンションへ入っていく場面だった。
悪意のある文面と、誰かに尾けられて写真を撮られていたという恐怖で、呼吸が浅くなる。じわりと滲んだ嫌な汗が、背中を伝っていく。
「し、社長に知らせなければ……」
声にならないほどの小さな呟きを残し、社長室へと急いだ。
書類に目を通している社長に声をかける。声が震え、うまく言葉にならない。
「あ、あの……少しよろしいでしょうか」
顔を上げた彼が、ハッとしたように私を見る。
「美愛ちゃん、どうしたの? 顔色が悪いし、震えているじゃないか」
「こ、これ……午後に総務へ届いた社内メールなのですが……」
震える手は、まだ収まらない。渡した紙に目を通した社長は、厳しい表情のまま、しかし静かに私を応接セットへ座らせた。
すぐに大和副社長と美奈子さんを呼び出す。駆けつけた二人に例の紙を見せると、社長は矢継ぎ早に指示を出し始めた。
「大和、システム部へ行って、総務の佐藤周辺のカメラを確認してくれ。それから、佐藤のコンピューターのログも確認を」
美奈子さんには、石田さんや佐藤さんの席周辺にいた社員への聞き取りを指示する。
そして社長は携帯を取り出し、ブレーン8へLIMEメッセージを送っていた。
大ごとになってしまった。
初めて見る社長の鋭い視線に、心臓の音がやけに速く、大きく打ちつける。
ーー社長の携帯の着信音が、部屋に響いた。
涼介先生からのようだ。
「涼介。……ああ。……そうだーーそれは必要か? いや、俺がやる。……ああ、わかった」
渡された二枚重ねの紙を、震える指先でゆっくりと開くーー目に入った文字に、息が詰まった。
『社長秘書の花村美愛は、港区女子でパパ活をしている性悪女。
彼女が着ているスーツはすべて、働く女性に大人気のブランド『Cool Beauty』のオーダーメイド品。花村美愛は、10万円以上のスーツや靴を何着も何足も所有している。
さらに、彼女はミッドタウンから徒歩圏内の高級マンションに男と一緒に住んでいるようだ。
こんな性悪女は会社の恥。即刻解雇すべきだ』
そこには、『ホテル9(クー)』のバレーパーキングでの写真があった。横顔の私と、後ろ姿の雅さんーー入社したばかりの頃のものだ。
スーパーで撮影された写真もある。こちらにも雅さんが写っているが、キャップを深く被りサングラスをかけているため、彼だとは判別しにくい。最後の写真は、私がマンションへ入っていく場面だった。
悪意のある文面と、誰かに尾けられて写真を撮られていたという恐怖で、呼吸が浅くなる。じわりと滲んだ嫌な汗が、背中を伝っていく。
「し、社長に知らせなければ……」
声にならないほどの小さな呟きを残し、社長室へと急いだ。
書類に目を通している社長に声をかける。声が震え、うまく言葉にならない。
「あ、あの……少しよろしいでしょうか」
顔を上げた彼が、ハッとしたように私を見る。
「美愛ちゃん、どうしたの? 顔色が悪いし、震えているじゃないか」
「こ、これ……午後に総務へ届いた社内メールなのですが……」
震える手は、まだ収まらない。渡した紙に目を通した社長は、厳しい表情のまま、しかし静かに私を応接セットへ座らせた。
すぐに大和副社長と美奈子さんを呼び出す。駆けつけた二人に例の紙を見せると、社長は矢継ぎ早に指示を出し始めた。
「大和、システム部へ行って、総務の佐藤周辺のカメラを確認してくれ。それから、佐藤のコンピューターのログも確認を」
美奈子さんには、石田さんや佐藤さんの席周辺にいた社員への聞き取りを指示する。
そして社長は携帯を取り出し、ブレーン8へLIMEメッセージを送っていた。
大ごとになってしまった。
初めて見る社長の鋭い視線に、心臓の音がやけに速く、大きく打ちつける。
ーー社長の携帯の着信音が、部屋に響いた。
涼介先生からのようだ。
「涼介。……ああ。……そうだーーそれは必要か? いや、俺がやる。……ああ、わかった」