お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜
3週間前のプロポーズ以来、腑に落ちないことが続いていた。今日の『ホテル9(クー)』での出来事も含めて、すべてをようちゃんに話した。


「私が一番悲しかったのは……雅さんにウソをつかれたこと」


そう、少なくとも二回。あの苦手な甘い香り。彼のスーツの左側から、二度も漂っていた。

ーー『ホテル9(クー)』で見た時も、彼女は雅さんの左側で腕を絡めていた。

雅さんが他の女性に走ったのは……これが原因なのかもしれない。


「あのね、ようちゃん……私と雅さんは……まだエッチしていないんだ」


私の言葉に、ようちゃんは飲んでいたレモンサワーを吹き出した。

「ご、ごめん……思わず吹き出しちゃったよ。ヤバい、ティッシュ……。あんたたち、どういう関係なの?」

「まだキスだけ。一緒に寝るけど、ただ抱きしめて寝るだけ」

ようちゃんは口をあんぐり開けたまま、しばらく固まっていた。


「オーケー。今、雅さんの気持ちを憶測で語っても、何も解決しないよね。美愛は、雅さんとのエッチについてどう思ってるの?」

「もちろん、好きな人とそうなりたいよ」


でもーーあの女性と比べたら、私は幼すぎる。

私って……そんなに魅力がないのかな。そういう対象として見られていないの?

じわじわと、自信が削られていく。


「私って、お飾りの人形みたいに思われてるのかな……。私って、一体何なんだろう」

「マジで言ってる? ヤバっ。あんた、普通にモテてるから」


ようちゃんは、私の不信感は当然だと言ってくれた。でも、今は何も決断すべきじゃないとも。


「ねぇ、あんたへの電話とメッセージ、雅さんと圭衣と友達だけ?」

「うん」

ようちゃんにケータイを見せる。実家には、まだ連絡はいっていないみたい。


「雅さんに、あんたが無事だって知らせなよ。大ごとになるかもよ?」

「わかってる。でも……今は、ようちゃん以外の誰とも話したくない」

「オーケー。じゃあ、あたしが電話する。あんたがここにいるって伝えるよ。任せてくれる?」


私が頷くと、ようちゃんは私のケータイで雅さんに電話をかけ始めた。

聞きたくない。

私はその場を離れ、化粧を落とすためにシャワーを浴びに行った。
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