お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜
タクシーの中で、ようちゃんに向かっていることをLIMEで伝え、ルームナンバーを教えてもらった。

車窓に映るクリスマスの華やかなディスプレイ。行き交う人々は、皆楽しそうだった。その光景と今の自分を比べてしまい、胸の奥がすうっと冷えていく。

渋滞もなく、タクシーはほどなくして銀座のホテル「キャッスル」に到着した。




エレベーターで12階のボタンを押す。ドアが閉まった瞬間、堰を切ったように涙が溢れ出した。

ようちゃんの部屋をノックする。「はーい」という明るい声とともにドアが開いた。

泣いている私を見た彼女は、何も言わずに手を引き、部屋の奥へと連れていく。そして、幼い頃と同じように、そっと抱きしめてくれた。


「ごめんね、久しぶりに帰ってきたのに……」


落ち着いてソファーに座ると、ようちゃんが口を開く。


「何を謝ってんのよ? 気にしないの!」


相変わらず明るいようちゃん。


「それより、話したい気分? やけ食いしたい気分? 両方いっぺんにするのもアリだよ」


思わず笑ってしまう。ようちゃんは、少しも変わっていなかった。




最近あまり食欲がなかったのに、不思議とお腹が空いてくる。

ルームサービスでビーフカレーとナポリタンを頼み、到着までの間にホテル近くのコンビニへ向かった。アルコール、スナック菓子、スイーツーーそしてなぜかジップロックバッグまで買い込む。

やがて料理も届き、久しぶりの女子会が始まった。食事を分け合いながら、こんなに笑ったのはいつぶりだろうと思うほど、楽しい時間だった。

ふと、隣に置いたスマートフォンの画面が光る。

大量のメッセージと着信。雅さんだけでなく、圭衣ちゃんやすーちゃんからも届いている。

一気に現実に引き戻される。

言葉を失った私に、ようちゃんが優しく言った。


「話は、いつでも聞くよ」
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