せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。
「リルティア嬢、俺もあなたと気持ちは同じだ。あなたと婚約できて良かったと思っている。俺はあなたのことを……愛しているからな」

 イルドラ殿下は、私の目を真っ直ぐに見つめて言葉をかけてくれた。
 それは私にとって、とても嬉しい言葉だった。同時に私から言おうとしていたことでもある。

「……そのように思って、くださっていたのですね?」
「ああ、いつからだろうな。それは正直、よくわかっていないんだ。ただ、あなたに俺は惹かれていた。もう少し早く、気付ければ良かったんだがな」
「いいえ、こうして伝えてもらえて良かったと思っています。私もイルドラ殿下のことを愛していますから」
「ありがとう、リルティア嬢」

 私とイルドラ殿下は、森の泉の傍でゆっくりと笑い合う。
 それから私達は、しばらくそこで時間を過ごした。それは和やかで心地良い時間だった。
 これからも私達は、二人で前へと進んで行く。それが険しい道であっても、きっと大丈夫だ。彼となら未来が切り開けると、私は信じている。
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