あなたと運命の番になる
「ねぇ、蘭ちゃんの番の人ってどんな人なの?」

「えっ。」

蘭は黙り込んでしまう。瞳に家に来てから、1度も番について聞かれてことはなかった。拓也は知っているのだから、伝わってるはずだが、和真のことばかり考えてしまう自分が恥ずかしくて、嫌であまり聞かれたくなかったので、助かっていた。

「ヒートの時、その人のこと思い浮かばない?私がそうだったから。」

瞳が優しく尋ねる。

「…思い浮かびます。消しても消しても消えないんです。自分が気持ち悪くて…。」

蘭は小さな声で言う。

「辛いわよね。でも自分を責めないで。Ωが番を見つけたらどんな人でもそんなふうになるものよ。蘭ちゃんは全然気持ち悪くない。」

瞳が力強く話す。

「いや…でも…。前に言われたんです。Ωは性欲にまみれてるって。その時は匂いをだしてるだけなのにって思ったけど、自分がこんなに欲してしまうなら、性欲まみれって言われても仕方ない。」

瞳が蘭を抱きしめる。蘭はポロっと涙がこぼれた。

「蘭ちゃんは性欲まみれなんかじゃない。私が分かってるから。」

「ありがとう…ございます…。」

瞳は蘭が落ち着くまで抱きしめた。
< 127 / 173 >

この作品をシェア

pagetop