あなたと運命の番になる
蘭はびっくりする。Ωの入院部屋に‪α‬が来ることは無い。むしろ徹底的に入れないようにされてるくらいだ。

「店になかなか戻ってこないから、私の親に聞いたみたい。親も初めはちょっとヒートが長引いててくらいしか言ってなかったんだけど、あまりにもやって来るから、入院してることを話したの。」

「それでね、両親のところに旦那が急にスーツでやってきたのよ。番だって、言ったんだって。絶対幸せにするし、怖い思いもさせない。私に言う前に両親に結婚したいこと話したのよ笑。順番違うわよね笑。
でもそれには理由があった。」

「理由?」

蘭は聞き返す。

「私のヒートを落ち着かせるためよ。ヒートが長引く原因を色々自分なりに調べたみたい。そしたら番との出会いというものがあった。もしかして自分が原因かもって思ったみたいで、1度会わせて欲しいってことだった。」

「ご両親は会うこと了承されたんですね。」

「もちろん初めは反対だった。番だという根拠もあるわけじゃないし、ヒートにあてられると‪主人だって理性を保つのはしんどくなる。それにやはり番になるのはΩ側の負担が大きい。身分の差もあったしね。」

「やっぱり番になるのはしんどいんですか?」

「んー。今まで経験したことないような衝撃が体に来る。だから、驚くし頭が真っ白になった。ただ、自分のことを愛してくれる人となら乗り越えられるわ。それになんなら幸せさえ感じたの。」

瞳の優しい表情を見て、蘭の心も安らぐ。

「じゃあその時に番になったんですか?」

「うーん、違うわ。番になるのは次のヒートの時。その時は主人に体の疼きを取ってもらっただけ。主人は服1枚脱いでない。」

蘭は大きく目を見開く。

「旦那さんすごいですね。ヒートに耐えたんですか?」

「薬飲んで病室に来たのよ。‪α‬の欲を抑える薬。」

「よく‪α‬の人が飲まれてる薬ですか?」

「日常的に飲んでるものもあるけど、病室に来た時はその薬じゃない。かなり強めの抑制剤よ。普段は使わないと思う。‪α‬がヒートにあてられて止められなくなった時に使うような薬。」

蘭は驚く。

「旦那さんすごいです。薬飲んで会いに来てくれたなんて。」

蘭は欲を抑えてまで瞳を助けようとする旦那を素敵だなと思った。
< 126 / 173 >

この作品をシェア

pagetop