あなたと運命の番になる
コンコンとドアを叩く音がする。

瞳がはいっというと拓也が入ってきた。

瞳の表情と伏し目がちな蘭の様子からなんとなく現状を理解する。

「蘭ちゃん。母さんから話は聞いたみたいだね。すぐ分かりましたなんて言えないよね。」

拓也の優しい表情に気持ちが少し和らぐ。

「蘭ちゃんは、番の人と触れ合うのは怖い?例えば、手を繋いだり、軽く抱き合ってみたり。」

蘭が男性への抵抗があることを理解しているので、慎重に聞く。

蘭は首を横に振る。

「そっか!それなら良かった。
じゃあその人と触れ合うと安心出来る?」

拓也の質問に蘭は少し頬を赤らめて頷いた。

「いいことだね。
蘭ちゃんが今ヒートなこと相手は知ってるんだよね?連絡とかとってるの?」

「はい。毎日連絡はいただくんですけど、あまり返せてないです。」

蘭は小さな声で言う。

「そっか。体調悪い時は仕方ないよね。でも連絡してくれるのは嬉しいよね。」

「嬉しいんですけど、もっと会いたくなってしまうから。できるだけ考えないようにしないとって思ってて…。」

蘭の消えいるような声を聞く。

「蘭ちゃん、頑張って相手の人に会ってみない?
相手の人に抑制剤飲んでもらうこともあって、俺が少しお話聞いてからになるんだけど。
何かあっても俺や母さんもいるし。
やっぱり怖いってなったら、やめてもいいから、ひとまず相手の人に俺から連絡とってもいいかな?」

「…はい。お願いします。」

蘭の返事を聞いて、拓也は微笑んだ。
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