あなたと運命の番になる
それから少したわいもない話をする。

和真の顔を見るとドキドキする。
前からかっこいいと思ってたし、すてきだと何度も思った。だけど恋人となると前よりも何百倍もかっこよく見える。恋人マジックだなんて思うけど、和真なら恋人じゃなくても誰が見てもかっこいいんじゃないかとか思ってしまう。

「蘭ちゃん、聞いてもいいかな?」

「なんですか?」

「ヒート起こった日、俺になにか話そうとしてくれてただろ?なにかあった?」

ヒートの周期がいつもより早かった。ヒートが重いのは自分も原因のひとつではあると思うが、ヒートの周期が早いのは強いストレスなどが加わった可能性が高い。また自分のことをあまり話さない蘭が珍しく話したいことがあると言ってきたので気になっていた。

「あっえとその・・・。たいしたことじゃないので、もう大丈夫です。わざわざありがとうございます。」

陽菜から言うように言われて、自分も話す決意をしたものの、ヒートになって機会もなく今日まできていた。決意した日なら話せたかもしれないが今は心配かけたくないやめんどくさくいと思われたくないなどいろんな感情が混ざって話せない。

「蘭ちゃん、隠さず教えてほしい。」

和真は真剣な表情で聞く。

「ヒートになった日、友達とランチしてたんですけど、前、山城さんと一緒に食事した時に会った女性の方と出会ってしまって、少し言われただけです。」

和真の怒りの含んだ表情を見て、蘭は慌てる。

「あっでももう前のとこですし、今は全然気にしてないですよ。」

蘭は笑顔を作って話す。

「辛い思いさせてごめんな。前に会った3人組のやつらだよな。しっかり注意しておく。」

「あっそんなの大丈夫ですよ・・。」

あの中の誰かと会ったのだろう。一発目からしっかり言い伏せておくんだった。しっかり制裁加えると決める。どこの令嬢かしらないが、調べてもう二度と蘭に会わせないようにする。ヤマシロと多くの企業が事業提携している。そこを揺さぶれば向こうは頭を下げて謝り、もう寄って来れないだろう。

「他に話すことはある?」

「もうないです。」

「ほんとに?」

和真の見透かすような目で見られると嘘がつけなくなる。

「・・出所してきたんです。前襲ってきた人が。そして変な手紙がポストに入っていました。」

和真は想像以上のことに驚くが、すぐ冷静になる。

「手紙にはなんて?」

「会いたかったみたいな内容と朝、私が家から出ていく時の写真が入っていました。」

暗い表情になる蘭を和真は抱きしめる。

「怖かったな。」

「驚いちゃいました。だけど、山中(拓也)先生の家にいたし、相手ももう忘れてるんじゃないかなとか思ってます。」

「それならいいが、俺はそんなふうには思わない。出所してきてすぐだったんだろ。蘭ちゃんに執着してる気がする。」

蘭も和真が言うことが正しいと思う。

「蘭ちゃん、話すの辛いかもしれないが、何があったのか教えてくれないか?」

和真はまっすぐに蘭を見つめる。

「あの・・・えっと・・あの日は・」

蘭は話そうとするが、体がかたかたと震えてしまう。
うまく話したいのになかなか言葉がでてこない。
和真は蘭をさきほどより強く抱きしめる。

「蘭ちゃんごめんね。怖いよね。急に聞いたりして悪かった。」

和真は蘭の背中をさすり、何度も大丈夫だとささやく。
蘭の震えも少しずつ治まってくる。

「すみません。わたし、ちゃんと話さないといけないのに・・・うまく話せなくて。」

「そんなことない。怖いこと思い出させるようなことしてごめんな。ただ、蘭ちゃんを守るためにもその人のことを少し調べておきたい。名前だけは教えてくれないか?」

「・・・はい。」

蘭はごくりと唾を飲む。言わなきゃと思うが言葉に詰まる。

「蘭ちゃん、調べるとは言ったけど、こちらからなにかアクションを起こすようなことはしない。ひとまず様子みるだけ。相手側に動きがなければこちらは動かない。」

和真はそう言って、蘭の手を握る。優しい表情と男らしい手が蘭を大丈夫だと安心させてくれる。

「・・佐藤遊助」

「教えてくれてありがとう。」

和真はそう言って蘭を力強く抱きしめた。
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