あなたと運命の番になる
和真と蘭は夕食を食べに、ドライブする。
まだ病み上がりだし、近くの和食屋さんで食事をすることにしている。

「体調はどう?」

和真が聞く。

「もう元気です。お休みも長くいただいて、ありがとうございます。」

いつもはお金のこともあり、ヒートが終わればすぐに出勤していた。ただ今回はヒートが重かったこともあり、しっかり休んでから出勤した方がよいと和真から言われ、長く休ませてもらった。
拓也の家から帰る時、薬代や食事代など払うと言ったが、和真から代金はもらってると言われ、払わず帰ってきた。

「山城さん、山中先生の家でお世話になっていた時のお金、ほんとに払わなくていいんですか?」

「もちろんいいよ。何も気にすることない。」

「でも、今回薬も結構高かったですよね。やっぱり払います。まとめては無理かもしれないですけど、少しずつなら返せると思いますので。」

蘭の申しわけなさそうな表情を見て、少し不思議に思う。どうしてこんなに純粋なのかと。
自分はヤマシロの副社長なのだ。誰がどうみたって金持ちに見えるだろう。実際お金に困っていない。
彼氏が金持ちなら、奢ってもらえばいいと普通思わないか?だけど、蘭からはそんな貪欲さは感じない。
そんな彼女だから、守ってあげたいし、頼ってほしいと強く思うのだろう。

「蘭ちゃん。お金のことは本当に気にしなくていいから。元気になってくれて俺は嬉しい。
あっでも俺ひとつ気になってることあるんだよなー。」

「ありがとうございます。気になってることってなんですか?」

これ以上言っても和真は絶対お金を払わすつもりがなさそうだと思う。なので今回は感謝を伝えることが1番な気がした。

「いつまで山城さんって呼ぶの?俺の下の名前知ってるよね。彼氏なんだし、下の名前で呼んで欲しいな!」

思いがけない発言に蘭は顔を赤くする。下の名前を知らないわけがない。ただ恥ずかしくて言えないだけだ。

「・・知ってます。か・・ずま・さん。」

蘭は口にするとますます恥ずかしくなって顔がりんごのように赤くなる。

「ありがとう。嬉しいよ。これからも呼んでね。」

和真はそう言って、信号が赤の間に蘭の頬にキスをした。
< 143 / 173 >

この作品をシェア

pagetop