あなたと運命の番になる
まずい・・・
どうしよう・・・

いつもよりヒートがはやく来た。
お酒を飲んでいることもあって、ヒートの前兆に気づかなかった。

薬効いて・・・

蘭の願いも虚しく、体は火照るいっぽうだ。

原因は分かっている。
車内中から和真の匂いがして、体が疼く。
和真のことを体が本能的に求めている。

焦るが体はいうことをきかない。


「蘭!!!!大丈夫??」

慌てるように母がやってきた。

「谷本さんが女性のタクシードライバーさん呼んでくれてるから、乗って帰りましょ。」

母は支えて、車から出ようとするが、蘭は動かない。

「蘭??」

いつもの蘭なら、逃げるように家に帰りたがる。
ただ、今日は車から降りたがらない。


蘭は和真から離れるのが寂しくてたまらなくなる。。
和真の匂いを感じたい
頭では離れないといけないと分かっているが、衝動を抑えられない。


「お母・・さん・・・どう・・し・・よう。」

蘭の様子を見て母は悟る。
蘭は和真のジャケットを抱きしめていた。そして和真が先程いたであろう運転席の匂いを嗅いでいる。

「蘭!!大丈夫だからね!!」

母はぎゅっと蘭を抱きしめ、背中をさする。
蘭はもちろん思いなんて伝えていないだろう。Ωが普通の恋などなかなか難しいことは分かっていた。
最近は仕事も上手くいっているようだったし、Ωの本能のようなものは和真には見られたくないだろう。

蘭が少し落ち着いた瞬間に、なんとか車からおろして、慌ててタクシーに乗せる。

「ありがとうございました。」
母は和真に挨拶をする。

「あの・・・具合どうですか?」

和真の声に母は礼をして、急いでタクシーに乗った。
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