あなたと運命の番になる
去ったタクシーを見ながら、和真は呆然とする。

蘭の香りがした瞬間、体中の血がわくような今まで感じたことのない衝撃とともに、彼女に触れたくてたまらなくなった。

なんとか理性を保ち、車を停めたが、あのまま車内にいたら絶対に襲っていた。
抑えられる自信がない。

今までΩの人の香りを嗅いだことはあったが、比べものにならないくらい蘭の香りは甘かった。

全身が彼女を求めていた。

今だ収まらない衝撃とともに、彼女が愛おしくてたまらなくなる。

大黒さんは俺の番だ。
必ず幸せにする。

強い決意とともに蘭のヒートが終われば、全てを打ち明けて、お付き合いを申し込もうと決める。

本当は今からでも、傍に行きたいが、蘭は辛い時に会いたがらないだろう。

元々、彼女のことは気になっていた。
樹の言う通り、番とは出会った頃から惹かれるものなのだろう。

蘭のことが頭から離れぬまま、車に乗って家に帰った。
< 71 / 173 >

この作品をシェア

pagetop