あなたと運命の番になる
久しぶりだーーー。

日本の空港に降り立った和真は心の中で叫ぶ。
日本の空港は醤油の香りがする。海外の空港に着いた時、大抵違う匂いを感じる。今は体がインドに染まっており、日本の空港に対して独特の香りを感じた。
ただそれは、懐かしく和真にとっては心地の良い香りだった。
あれから、結局1度も帰って来れず、1年半インドで過ごした。
インドの生活はかなり大変だった。初めての環境で食事は体に合わないし、言葉もわからず、仕事はありえないくらいに忙しい。初めはかなり痩せてしまって、流石の和真も日本に帰りたいと思った。
ただ、少しずつ慣れていき、今では言葉は完璧で、日に焼けた体が逞しい。
より洗練された色気のある男性になっていた。

空港には迎えの車が来ており、社長である父のいるビルに向かう。
窓から見える日本の家屋を見て、帰ってきたんだと実感する。

和真は会いたい人に会える。その喜びで胸が高鳴る。
この1年半、1度も忘れたことのない彼女に。
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